2025/10/13

火と大地の記憶 — エチオピア・グジのコーヒーセレモニーを体験して |ガンが石灰化?!~死の淵から蘇った1人の男性が、エチオピアのコーヒー農家になる話~

 

お砂糖がスタンバイされたカップ。さらにこの後、バジルを1枚浮かべます。

先日、鹿児島市の「フライハイコーヒー」さんで開催された
エチオピアのコーヒーセレモニーに参加しました。

エチオピア・グジ県でコーヒー農家として暮らす日本人、浅野さん。
まずお香を焚き、炭火で小さな鉄板を熱し、豆をばらっと広げて棒でかき混ぜながら、
直火で焙煎していく、この素朴な空気感がたまりません。

鉄板は中華の大皿程度の大きさです。

持参したスピーカーでアップテンポの現地音楽をノリノリでかける、浅野さん。

「演歌に似てるでしょ♪」

パチパチと豆がはぜる音が響く中、困惑する参加者 (笑)。
それを包む空気の熱。

ワイルドで、荒々しくて、
でもどこか懐かしい“生命の匂い”がありました。

浅野さん。気さく過ぎる(笑)一発で大ファンです。


コーヒーは、フルーツだ。

浅野さんは、セレモニーの途中で言いました。

「コーヒーはフルーツなんです。
コーヒー農家としては、“農産物”として評価されたい。
焙煎して点数をつけるカッピングは、
僕らの望むコンテストの形とはちょっと違うんですよね。」

その言葉を聞いた瞬間、
私の中でお付き合いのある自然栽培の農家さんたちの顔が浮かびました。

コーヒーは“飲み物”ではなく、

大地と太陽が育てた果実。
その果実が火に出会って香りに変わり、
人の手と心を通って、ようやく一杯のカップになる。

浅野さんのコーヒーには、
そんな「生きものとしてのコーヒー」の息づかいがありました。

「神様からの贈り物だからね。」


80の民族が暮らす地で

エチオピアには80も民族があり、
言葉がまったく通じないそうです。

「アイヌ語と琉球語くらい違うから、
方言というレベルじゃないんですよ(笑)」

と浅野さん。

電気もガスも水道もない生活。

飲み水を得るための井戸を掘るには、
機械を海外から輸入する必要があり、日本円で約1億円くらいの費用がかかるそう。

それでも、彼の農園では毎年60万株の苗を育て、
新しい土地を開き、リジェネラティブ(再生型)農業を実践しています。

肥料は緑肥、農薬は見たことない。

アカシアの木をシェードツリーに、
木苺をシェアプラントに。
森の中に息づくコーヒーの木は、
ほんのり木苺の香りがするのだそう。

「僕の仕事は“森をつくること”なんですよ。」

話が面白過ぎて、聞きたいことが止まりません。

 


そして、病との出会い

浅野さんは関西出身。
元々はフランス料理のシェフで、
その後日本でコーヒー店を営んでいました。

45歳のとき、突然ステージ3のがんを告げられます。

「死ぬかもしれないと思った。
でも、それより“まだ何もやってない”って思ったんです。」

そう言って笑っていました。

彼は2ヶ月間の研修契約でエチオピアに渡ります。
自然の中で、土に触れ、火を扱い、
夜には星を見上げて眠る。

その穏やかな日々のあと、
帰国して受けた検査で、主治医が椅子を蹴り飛ばす勢いで叫んだそうです。

「なんじゃこりゃ!ガンが石灰化してる!」

「・・・これはもう、がんじゃない。
あとは体の外に出ていくだけだ。。。」と。


「心かな。エチオピアの空気かな。」

浅野さんは、その出来事をこう振り返りました。

「食べものとかじゃなくて、心かな。
エチオピアの空気とか、あの大地とか。
そういうものが、がんを治してくれたと思う。」

本人も不思議でならない様子でした。
けれど、その言葉には
「心と体で感じたリアル」がありました。


「がんの時は、血が汚れていたんです。でもエチオピアへ行ってから、血がきれいになったんですよ。」

そう言って、少し不思議そうに笑う浅野さん。
「だから、それが“心”とか、“エチオピアの空気”とか、そういうものの影響なのかなぁと思うんですよね。」

いまでは、なぜか日本に帰ってくると空港に着いた途端に耳鳴りが始まるそうで、

コーヒーセレモニーの最中にも「今も鳴ってますよ、耳鳴り。なんでだかわからないけどね」と、笑いながら話してくれました。

きっと、体はもう、エチオピアの風や音と同じリズムで生きているのだと思います。

コーヒー豆を粉に挽いています。どうもこの重量感があるステンレス製の棒は車の部品のようです。エチオピアから持参のグッズ。


「オレはもう、日本では生きていけないな。」

その言葉は、力強くも穏やかでした。
“死を怖れた人”の声ではなく、
“生を生き切っている人”の声に聞こえました。

「便利だよね、ガスバーナー。」現地では枯れ葉、小枝を拾って火をつけますが会場の敷地がきれいすぎて何もないじゃない!って慌てていた浅野さん。

森で働く人たち

農園では、スタッフたちは朝タイムカードを押すと森へ散らばっていきます。
時々いなくなるので探しに行くと、
作業台の下でみんなで笑いながら涼んでいたり。

「そんな時は“仕事しろー!”って声をかけに行くのも、僕の仕事です(笑)」

その話をする浅野さんの笑顔は、
そんなスタッフのことも好きなんだなと感じます。


生きること、それ自体がセレモニー

セレモニーは2時間の予定が、気づけば3時間、盛り上がり過ぎ。
火、香り、笑い、祈り。

それぞれがゆっくりと混ざり合い、
一つの“場”ができていました。

「エチオピアのグジは、世界一気候が良くて過ごしやすいと思いますよ。」

浅野さんの言葉が、
帰り道の車の中でも何度も思い出されました。

参加者に焙煎を任せ(左端に見える手とかき混ぜ棒)、「ふぅーっ」っていってる浅野さんに記念撮影をお願いしました。



しぜんやのあとがき

浅野さんの話を聞きながら、

「コーヒーセレモニー」は、エチオピアの**“生き方そのもの”**なのだと感じました。


浅野さん、フライハイコーヒーさん、ありがとうございました!



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